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連携会議(県内)

いわて連携復興センターも共催しております第10回現地会議in岩手を
去る8月29日 北上市ブランニュー北上にて開催しました。

当日は84名の方々にお集まりいただき、震災から3年半が経とうとする今、
マルチステークホルダープロセスによる復興への取り組みについて検討しました。
皆様のご参加・ご協力に心より感謝申し上げます。

当日の模様を以下発言要約としてご報告させていただきます。
後日JCNサイト上でも詳細を掲載させていただきます。

第10回現地会議in岩手 発言要約

【あいさつ】
■NPO法人いわて連携復興センター 鹿野順一
 お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。現地会議も10回
目を数える事になりました。震災から4年目、災害が多発する中、継続して岩手に関わ
りを持っていただいている皆様に感謝いたします。ボランティアの皆様が広島や丹波で
活動されている事に敬意を表する一方、広島の映像は直視できません。
 被災された方々のプラスになるように、自分たちの被災地での取り組みをお見せ出来
たらいいと思います。誰かだけが頑張れば何とかなるという時期は過ぎ、今回はマルチ
ステークホルダープロセスをテーマとして、会を進めていきたいと思います。最後まで
よろしくお願いします。

■岩手県復興局生活再建課 佐野淳氏
 この度の広島の大災害で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。震災から3
年5か月が経過しました。全国の皆さまから暖かいご支援、感謝いたします。県では第
二期の復興実施計画を決め取り組んでおりますが、重視すべき視点として、参画、つな
がり、持続性を掲げ、次世代を担う人材づくり、多様な主体の参画、地域資源の発掘を
目指しています。
 復興住宅の建設が進み、新たなステージの新たな課題が出ています。複雑化する地域
課題を正確に把握し、地域にある資源を発掘し、県・NPO・企業などあらゆる主体が
力を合わせ、被災地の復興、被災者の生活再建をすすめていけるよう、ますますのご協
力をよろしくお願いします。

【趣旨説明】
■JCN岩手担当 中野圭
 JCNの現地会議ですが、初めてご参加いただいた方も多いようなので、今回の趣旨や
現地会議について説明させていただきます。JCNは798団体の加盟からなるネットワー
ク組織です。被災地支援、広域避難者支援、後方支援の3つを展開し、現地会議は被災
地支援の一環に当たります。被災地支援では岩手、宮城、福島に駐在員を配置し、ケー
ス検討会議の開催、JCNレポートの作成と発行、現地会議の開催等をおこなっておりま
す。
 今回は「課題を把握し、資源を見極める~マルチステークホルダープロセスによる復
興とは」というタイトルを掲げさせていただきました。震災以前から岩手にある社会課
題が、東日本大震災という大きな課題が起きた事で加速し、それに挑まなければいけな
くなりました。ここまでは前回の現地会議でも話させていただきましたが、今回はその
課題解決のために「多様な主体の連携が必要」という事で、マルチステークホルダープ
ロセスについて考えていきたいと思っています。長丁場になりますが、よろしくお願い
します。

【テーマ1 理解を深める マルチステークホルダープロセスとは何か?】
■認定NPO法人日本NPOセンター 田尻佳史氏
 マルチステークホルダープロセスとは何か。地域における利害関係者が協力し合って
解決していくということを考えていかなければならない。特に被災地は謙虚で、それぞ
れが個別に課題解決にあたっていたのでは間に合わない。
 東日本ではたくさんの民間が支援に動きその期待も非常に高まっている。行政の場合
は制度がないとどうしても対応できない。だからこそ行政は制度で守り一律のサービス
を提供するが、制度がない場合は民間でお願いします、ということになる。これまで行
政と市民団体が協働という形を模索してきた。しかしながら1対1ではなかなか解決で
きない問題へ、複数による協働、「マルチステークホルダープロセス」という考え方が
うまれた。円卓会議では時に議論がどこにいくか不安だが、さまざまな立場、実践が融
合し化学反応が生まれる。このプロセス自身が非常に大事。
 円卓会議のしかけかたには2つあり、事業テーマがあってそれに関わりそうなキーパ
ーソンに集まってもらうパターンと、多様なメンバーに集まってもらいそのメンバーで
協働できる事業を考え組み立てるパターンである。異質なセクターが2者よりは3者、
3者よりは4者というかたちで関わり合い、その組み合わせが円卓会議において重要な
要素となっていく。

【テーマ2 事例を知る -地域課題への取り組み事例を知る-】
■ 認定NPO法人国境なき子どもたち岩手事務所 東洋平氏 
 背景としては、震災の影響によるこどもたちの遊び場減少があった。遊び場となるべ
き校庭がなくなった上に、震災を免れたところも仮設がたっている。大人目線で作られ
た仮設住宅などは、子どもたちの居場所としては決していいものではない。また居住環
境だけではなく学校なども変わらざるをえず、その変化がこどもにあたえる影響は大きい。
 遊び場がないという声があがる一方、公園はあった。住まいや環境が変わって周囲に
気が回らない方も多かった。そこでマップを作成しようということになった。しかし支
援団体はマップ作りのプロではない。各団体のつながりがある企業や専門家などを積極
的に結び付けあった。協力をお願いするときも依頼事項ではなく、趣旨をしっかりつた
えた。こうしてお金をかけずに5000部印刷した。震災後はじめて釜石にきたという家
族から、マップがあって非常に助かったという声をきけた。作成委員会では並列、対等
な関係を尊重し負担の分散につながったが、確認や承諾を重視したので時間がかかった。
 被災地では支援が必要ですと声を高くしても、支援は集まらない。しかし、被災地の
問題はまだ解決せず、その問題に取り組んでいく主役は住民自身になる。今回お金がな
い中でマップという結果をつくったことが、参考になればと考えている。


■認定NPO法人茨城NPO センター・コモンズ 大野覚氏 
 もともと茨城NPOフォーラムを開催しており、それがSRネット茨城につながる。国
では円卓会議があったが、やはりそれでは大きすぎて身近ではないので、地域単位でや
ろうという意見があった。2011年にはじめて地域円卓会議を実施した。地域にはさまざ
まな課題があるが、みんなで解決しようという思いでやった。たとえば生活困窮者に食
糧を届けようというフードバンク。地域で活動する団体を応援するためのコミュニティ
基金など。もちろん中にはコモンズが声掛けして主体的に解決に動かしていったものも
ある。
 事例のひとつはタウンモビリティ。低床バスが少なく、車いす利用者が移動しにくい
という課題や、公共交通の利用を促進したい行政、低床バスの使用を増やしたいバス会
社など、さまざまなステークホルダーが議論した。結果、まちなかフェスティバルとい
うイベントへつながった。
 マルチステークホルダープロセスでは、そのしかけ方もポイントである。事業ありき
で集まるパターン、まずは集まってもらい課題を選定し事業につなげるパターン。後者
だと時間がかかる。もちろんNPOだけでもだめ、男性だけ、女性だけ、高齢者だけでも
だめ。多様でないとパワーが生まれにくい。その中でフリーにディスカッションをはじ
め、生みの苦しみから一体感が生まれていく。茨城の場合、円卓会議は東日本大震災の
1か月前だった。円卓会議でやってきた連携が東日本の支援につながった。
 円卓はキャンプファイヤーに近い。火をおこすときに着火剤でつけるか、ゆっくりつ
けるか。どう火をつけるかというプロデューサー的視点が大事。


【テーマ3 ワークショップ 課題を把握して資源を見極めるプロセスの実践】
※グループ別ワークのため省略