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研修報告

令和3年3月24日(木)に災害時の食に関する研修会をオンラインにて開催しました。
当日は、19名の方々にご参加いただき、岩手県内の市町村社会福祉協議会職員、県・市町村行政の防災・災害担当課職員、NPO団体職員にご参加いただきました。

まず始めに、INDSの瀬川より、「災害備蓄品の現状について」備蓄品として推奨されているものから、量や日数について、日頃からできることとしてお風呂の水を常に張っておくなどをお伝えし、備蓄、活用・廃棄の状況や災害備蓄品に関する課題などもお話させていただきました。また、期限間近の大量廃棄などの問題についても挙げさせていただきました。

次に、これまでの災害で復興支援に取り組んできた県内外の3名の方々にご登壇いただき、「フェーズ毎に必要とされる食についての意識と問題」についてお話いただきました。


〇災害発生前:住民意識の変革の必要性について 防災士 新沼 真弓 様(大船渡市)より
各家庭の状況にあった備蓄品の提案をしていただきました。ローリングストックという方法があることや職場や車などにも常温保存可能なものを備えておく、いつも購入している食材を1個多めに備蓄しておくなどハードルが高く感じられることも多い食料備蓄ですが、小さなことから始められることについてお話いただきました。

〇災害発生時:行政が陥りやすい食支援の問題について 長野県危機管理部危機管理防災課 火山防災幹 古越 武彦 様よりセクターの壁、分野の壁などのお話をいただきました。
古越様の事例もお話いただき、NPO・NGOとの連携を強化していくため定期的な訓練を行いそのあとボランティアさんとのワークショップを定期的に行っていることや被災地の方の不安感を少しでも解消するため災害時には共通のビブスを着用し現地での対応に当たっていることなど行政目線でのお話を聞くことができました。

〇災害発生から応急期:災害時のアレルギー問題 いわてアレルギーの会 山内 美枝 様より食物アレルギーについての基本的な知識から東日本大震災時に行った取り組みや避難所の状況、炊き出しを行う際の注意点などお話をいただきました。
避難所の様子として「食事に原材料表示がなくたべられなかった」「アレルギーをわがままだと思われるのではないかと言い出せなかった」など当時の状況をシェアしていただき、炊き出しに関しては材料ではなく使われている原材料特に調味料の裏表示もわかるようにしておくと食べられる方もいることなど教えていただきました。
現在ではアレルギー対応の非常食も増えていることからいくつか挙げていただき、保存年数も長いことからアレルギーがない方でも災害備蓄品として活用ができることをご紹介していただきました。
最後に食物アレルギーサインプレートの取り組みについてお話いただき使用例もお聞きすることができました。


さらに今回は災害時の食に関しての問題や知識を深めるために参加者同士で各グループに分かれて行ったディスカッションでは、「ただ食料を備蓄するだけではなく栄養面なども今後考えて備蓄していきたい」「支援を行う上で行政とNPOが連携し役割分担が必要」「町の備蓄用品をそろえていく中でアレルギーも考慮していく必要があると気づきがあった」などたくさんの内容がディスカッションされていました。


今回は、災害時の「食」について開催しましたが、災害はいつどこで起きるかわかりません。
今後もいわてNPO災害支援ネットワーク(INDS)では、県域の災害中間支援NPOとして、地域の皆様と共に防災活動に取り組んでいきます。

*この活動は休眠預金などの活用した事業の助成を受けて実施しました。