11月20日(日)、陸前高田市の下和野団地(災害公営住宅/市営:2棟120戸整備)で消防訓練が行われました。同団地は、2014年に陸前高田市内で最初に完成した災害公営住宅です。入居から8年目の今年度、初めて住民総参加型かつ実用的な内容を盛り込んだ消防訓練を自治会主催で実施しました。
自治会では、毎月の役員会で内容検討、定例会(2か月毎に交代する班長も参加)では訓練で係を担ってくれる協力者を募ることを継続し、半年をかけて準備してきました。前日19日には、役員と係合わせて40名ほどが参加してリハーサルを行った上で当日を迎えました。
当日、火災を想定した避難訓練では、発煙・非常ベル鳴動から初期消火、119番通報、避難誘導、避難集合場所での点呼など、各係が同時進行で進めて消防署員への報告までを行いました。その後、3つのグループに分かれて体験訓練です。水消火器・蹴破り戸・避難はしごの3種を参加した住民全員が学びました。
自治会役員から「当日どれだけ参加するか」と不安の声もありましたが、全116世帯入居のうち78世帯97名が参加し、同階避難者(階段を降りることが難しいため廊下まで避難した高齢者など)を含めると115名となり、高い出席率でした。役員のみなさんからは、声がけなどの工夫が住民に届いていた安堵感とともに達成感が伺えました。加えて、安否の確認できない世帯について素早く消防に報告する事や同階避難者への対応など、改善していく点も早速話されていました。
参加した住民からは「子ども連れの家族が参加してくれていた嬉しかった」「初めて見る方が沢山いた」など、様々な声が聞かれました。この8年間で、団地の周辺には新市街地や新市役所庁舎が完成し利便性は良くなった一方、災害公営住宅一般化により住民の入れ替わりも多く、住民どうしのつながりづくりや自治会活動への参加促進には課題を抱えてきました。今回、消防訓練を通して住民どうしが顔を合わせ、特に隣近所の方と交流する機会ともなりました。
いわて連携復興センターでは、団地の防火管理者である(株)寿広陸前高田市営住宅管理センター、NPO法人陸前高田まちづくり協働センター、岩手大学の船戸客員准教授と連携して訓練の企画運営を伴走支援してきました。コミュニティ支援において大きく時間を割くのは「話し合いの支援」です。様々な意見を重ねながら団地の規模や自治会の特性に合わせて内容を検討していくこと、自分たちで決めたことを実行していくこと、簡単なようで非常に難しく実践を積み重ねる必要があります。また、継続することで住民の主体性醸成に繋がります。
下和野団地自治会においても、今回の挑戦をきっかけに今後も活動に取り組み、その過程で話し合いの文化を醸成することに繋がって欲しいと思います。引き続き、各地で災害公営住宅や住民の実践力の強化を図る取組みをサポートしていきます。