2025年12月1日(月)、キオクシア アイーナ5階会議室501にて「災対法・救助法改正と今後の支援のあり方を岩手で考える」研修会を開催しました。当日は、行政、社会福祉協議会、NPO、福祉関係者など、県内各地から対面・オンライン合わせて40名以上の方にご参加いただきました。
今年5月に行われた法改正は、被災者支援のあり方を大きく揺り動かす内容でした。避難所や物資配布を中心に「まずは場所を確保する」ことに力を注いできたこれまでの支援が、被災者一人ひとりの生活に寄り添う支援へと歩みを進めようとしています。とりわけ「福祉サービスの提供」が約70年ぶりに救助法へ追加されたことは、生活の再建を支える視点がようやく制度の中にも位置づけられたという点で、大きな意味を持っています。
また、行政と民間が協働しやすくなる仕組みが制度的に整えられたことも、地域の支援体制にとって心強い後押しとなります。しかし、制度が変わっても、それをどう実務に落とし込むのかは現場の理解が不可欠です。
本研修会は、改正の背景や目的を共有し、岩手の地域でどう実践へつなげるかを考え合う時間となりました。
講師には、大阪公立大学大学院の菅野拓氏と、内閣府(防災担当)の木村圭佑氏をお迎えし、それぞれ専門的な立場から法改正の狙いと今後の支援の方向性についてお話しいただきました。菅野氏からは、これまでの制度が抱えていた課題や、今回の法改正が必要とされた背景について歴史的な経緯も交えた説明がありました。続いて、木村氏からは、制度の具体的な改定内容や、自治体・支援団体が今後準備すべきポイントについて、制度運用の視点から、実務上の要点を整理した説明が示されました。参加者からは「制度の全体像がようやく理解できた」「福祉的支援を現場でどう展開するか考える重要な機会になった」といった声が寄せられました。
講演後の質疑応答の時間では、新たに可能となった支援をどのように地域で活用できるか、災害時に求められる支援の流れをどう整理するかなど、立場を超えた対話が広がり、現場での実践につながる気づきが各所から生まれていました。
※本研修会はINDS会員団体であるいわて連携復興センターが、日本財団「災害対策ローカルネットワークの構築事業」の助成を受けて実施しました。

